過去問を解いて自分の学力を知ろう

前回は模試を使って、自分の学力を判断することについて書きました。

模試を使って自分の学力を知ろう。
模試を使って自分の学力を知ろう。
模試を使って自分の学力を知ろう。 今回は、自分を知ることについて考えてみましょう。このコーナーは、大学受験の学習計画をたてるためのコーナーですから、哲学的に考え.....

「模試を使って自分の学力を知ることが出来たのなら、わざわざ過去問を解く必要はあるの?」

「私は高校1年生だから、まだ過去問は解けないし・・・」

「もう少し実力がついてから、過去問は解こうと思うんですけど・・・」

いろいろな意見があると思います。

しかし、学習計画を立てる上で、過去問を解くのは必須だと私は考えます。

なぜなら、模試は総合的な学力を判断するために一般的には作られていますよね。

偏差値は便利な尺度ですが、偏差値が同じ受験生でも、得意分野、不得意分野が違うのは普通です。偏差値だけでこの大学は受験生にとって簡単とは言えないわけです。

入試問題はどのように作られるのでしょう。当たり前ですが、大学が、自分の大学に必要な学力をもっているか測るために作られるわけですね。

要するに、各大学の特徴が色濃く出るわけです。

今回は、中央大学を例にとって考えます。英語で考えてみますね。

中央大学の場合

大問は5つ。すべて客観式。

  1. 文と文をつなげる問題。1から10までの文があり、それに繋がる文をa~jまで選ぶ。配点は30点
  2. 正誤問題 問題数は10 各問題はa~dまでの4つの文章があり、間違いを含む文が一つある。誤りを一つあげよ。
  3. 長文空所補充問題 1~15までの空所に入れるのに適切なものをa~dの4つから選べ
  4. 長文空所補充問題 1~10までの空所に入れるものをa~jから1つ選べ。
  5. 長文空所補充問題5題、内容一致5題

比較しやすいように、2017年全統記述模試第2回をとりあげてみましょう。大問は6。

  1. リスニング
  2. 中文空所補充問題
  3. 文法・語法
  4. 総合問題
  5. 総合問題
  6. 英作文

大きく形式が異なりますね。

では、中央大学を大問ごとに分析してみましょう。簡単に分析してみます。

大問1 ここでしか出題されないような問題で、品詞の知識、文の訳出が高速で出来ないとなかなか高得点は難しい出題形式だと思います。これは過去問で練習するのがもっとも効率が良いですね。

大問2 品詞、語法、文法すべてが完成してないと高得点は望めない。正誤問題を意識的に訓練していないレベルだと対応するのは難しい。

大問3 長文中の空所補充問題。レベル的にはセンターより上。品詞の識別、文法の識別、語法、単語、イディオムの力が必要。前後の文の内容がわからないと取れないものがある。

大問4 大問3と似た形で、問われている知識は同じといえる。ただ、「1~10までの空所に入れるものをa~jから1つ選べ。」と言う形式なので、明らかに答えがわかるところから埋めていくなど、テクニックは使える。

大問5 前半の空所補充は、大問3と似た形式。後半の5問は各段落ごとの内容一致問題。

随分、全統記述模試第2回と出題形式が違いますね。

過去問を解いてわかること

過去問を解くことで、どの分野を強化しなければいけないかはわかりますね。

模試は学力を総合的に判断するものです。過去問と模試では、学習計画で占める役割が違うのです。

皆さんの目標は、志望校合格ですね。過去問分析が主、模試は従です。過去問と模試を上手く使って学習計画を立てることが重要です。

さて、中央大学の分析に戻りましょう。

問題を見ればわかるように、大問2から5では、形を変えているものの、品詞、文法、語法、単語、イディオムが問われているのはわかりますね。

あなたが高校1年生、高校2年生であって、問題が全く解けないとしても何が重要であるかはわかりますね。

ですので、過去問は必ず解きましょう。

そして、普段から正誤問題が出題されると知っている受験生とそうでない受験生では、受験までに大きく正誤問題への対応力は変わってきますね。

  • 単数・複数を注意しなければいけない。
  • 動詞の語法について気をつける必要がある。

こういったことは、一度過去問を解いてあれば意識できます。

また、制限時間通りに解くことも必要です。

多くの受験生が犯すミスは、時間制限を設けずに過去問を解くことです。
時間制限があることで、わかる問題でも解けないことは多く出てきます。

その場合は量をこなすなど対策が必要になりますね。自分の課題を知るために過去問を解くのですから、試験と同じ条件で解きましょう。

得点を大まかに出してみよう。

それぞれの大問ごとに得点率を記録しておきましょう。そして全体の得点率を大まかでも良いから把握することが必要です。

以下の点を記録してください。私が受験生と学習計画を立てるときは、以下のことを留意しています。

  • 難易度 難しい(正答率30%以下)、普通(正答率40~60%)、簡単(80%以上)
  • 既習範囲か未習範囲か
  • 自分の印象 (すこし勉強したらできそう、教科書レベルである、時間が全然足りないなど受けた印象)

学習計画を立てるのが楽になりますよ。

点数がわかる大学なら出しましょう。今回、例に取り上げた2012中央大学全学部の問題の場合は、各大問が均等配点で各30点になっています。一問一問の配点は何点かはわかりませんが、おおよその得点は出せるでしょう。

大問の1番の得点率が30%なら、9点。このようにして得点を出していきます。

合格最低点は当然、志望校を調べるときに確認してありますね。もし、出していなかったら、確認しましょう。

自分の得点と、合格点の差がこれでわかりますね。

2012年中央大学全学部の法学部の合格最低点が60%でした。総合で210/350 ですね。

今回の英語が、40%の得点率だったとします。60/150になりますね。60%が合格最低点なら90点。あと30点を上げていくために、学習計画を立てるのが基本になりますが、どの科目も均等に得点することを目指すのは効率がよくありません。

合格最低点はあくまで、全教科の合格最低点です。

得意科目、苦手科目は誰でもあります。重要なのは、受験は時間制限があるということです。受験生の能力は同じではありません。しかし、受験までの時間は共通していますね。一日1440分はどんな受験生でも共通しています。

重要なのは、早く得点があげられる科目、分野から強化することです。

「配点が高いから、英語で得点すれば良いだろう。」

これは正論です。私も英語を教えるので、そう言いたい気持ちもあります、

ですが、英語で得点することはそんなに簡単でしょうか。今回の中央大学ならば、相当量の文法、単語、イディオムの記憶。それに加えて正誤問題対策、長文の読み込みが必要なのは明らかです。かなりの学習時間がかかりますね。

英語の得点率が50%、国語の得点率が50%、社会の得点率が50%だったとします。合格最低点が60%で210点。英語75点、国語50点、社会50点。合計175点。あと35点で合格ですね。

配点が高い英語でとれたら最高ですが、例えば長文を落としていた場合はなかなか35点分を英語で埋めるのは難しいと思います。むしろ、国語が50点ならば、漢字や古文単語で失点している可能性は高いでしょう。これだけでも15点程度はあげられるかもしれません。

社会も50点ならば、弱い分野を詰めたら20点はあがるかもしれない。そうしたら英語で点数を取るより早く合格点に到達できますね。

繰り返しますが、受験は時間の制約があります。こんなサイトを作っていていうのはなんですが、計画が予定通りに行くことはまれです。

勉強しない受験生はいません。

不合格になる受験生の不合格の理由は、時間不足が一番の原因です。改善が容易な分野、科目から強化することが、合格の可能性を高めるのです。

学習計画をしっかり立てていれば、同じ時間の学習でも、得点能力の向上は大きく異なります。

面倒でも、過去問を解いて、大まかな得点を出してみましょう。

まとめ

  • 学習計画を作るためには模試を受験して分析するだけではなく、過去問を分析することが必要。
  • なぜなら過去問は模試と出題形式が異なる。
  • 過去問を解くことで普段の学習が効率化される。
  • 得点を出して、合格最低点まで後何点か把握する。それから、合格最低点に到達するまでにもっとも短時間で出来る分野・科目から強化する。

次回はさらに過去問の分析の仕方を説明します。得点をあげるのにどの分野をどのように勉強すれば良いかの考え方です。

ここが学習計画の重要な部分となります。

どの分野もできないという受験生の声も聞こえそうですね。そういう受験生のために、何を勉強すれば良いか、一般的に効果がある方法も紹介しようと思います。

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